この連載は、筆者が2024年に悪性リンパ腫(血液のがん)を患い、寛解を経て会社を退職、いわゆるサイドFIREを選択した顛末を綴るドキュメンタリーです。 全5回にわたり、一人の氷河期世代のおっさんの葛藤と決断をご覧いただき、ありがとうございました。最後は、組織を飛び出した「今」と、これからの話をさせてください。
1. 組織という「毒素」が抜けていく
会社員という、見えない圧力の中にいた頃の私は、常に何かに追われていました。退職してその重圧が消えたとき、驚くほどシンプルに答えを教えてくれたのは、自分の「体」でした。
長年私を悩ませてきたアトピー性皮膚炎が、魔法のように改善したのです。 睡眠の質が上がり、朝起きて散歩し、軽い筋トレで汗を流す。かつては追われるように過ごしていた時間を、今は「自分のコンディションを整える」ためだけに使う。この、当たり前でいて最高に贅沢な「自分への投資」こそが、今の私にとって最大の報酬です。
2. 「運」を味方につけた、静かな防波堤
もちろん、お金の心配がゼロだったわけではありません。ですが、そこには不思議な「幸運」もありました。 これまでコツコツと続けてきた資産運用が、退職というタイミングに合わせるかのように、想定以上の実を結んでくれたのです。緻密な戦略というよりは、時代の波が味方してくれた、幸運な結果だと思っています。
おかげで今、「生活のために今すぐ、必死に稼がなければならない」という切迫感はありません。この「余裕」という名の防波堤があるからこそ、私は病を経たあとの人生を、焦らずに歩き出すことができています。
3. 自分の人生の始まり
ブログのタイトルにした「文明くらっしゅ!」。
これには、組織のルールや社会の常識という「他人が作った文明」を一度リセットし、自分自身の手触りがある人生を再構築したい、という願いもあります。
今、私は自分のビジネスを立ち上げる準備をしています。 かつてのような大きな組織の論理ではなく、社会保険や税金といったスキームまで含めて、自分に最適化した「小さな城」を築くこと。それは、誰かに指示される「仕事」ではなく、私自身の人生を経営する「冒険」です。
すぐに成功を収められるとは思っていませんが、自由を感じながら、自分のビジネスを「半歩」進める。そのささやかな手応えを、今は静かに楽しんでいます。
組織の物差しを捨て、これまでとは全く違う自分の人生の始まりに、少しの不安と大きな楽しみでいっぱいです。
(完)


コメント
私も2024年11月にたまたま実施した人間ドッグで腎盂癌(ステージ3)が見つかりました。
2025年1月に手術、その後2カ月程度空けて抗がん剤2クール実施、
再発・転移なく現在に至ります。
仕事は毎日定時に帰っていたのでストレスはほぼなかったですが、悪いパターンだと再発・転移して術後1年ぐらいで死ぬと言われており、抗がん剤治療が終了して程なく週4日のパートに切り替えました。
手術前後で体調に変化はなく、今も元気ですが、2026年12月で退職を考えています。
緩く働かせてもらっていますが、今はある程度資産が築けて昇進や昇給に興味がないこと、時間つぶしのように会社に行っているのが現状でいざ病状が悪化したら、この時間を後悔すると思ったからです。
内容に共感したので、長文コメントさせていただきます。癌は術後2年が一つの山です。
お互い悔いを残さないように過ごせたらいいですね。
>伊藤さん、
コメントありがとうございます。
現在もお仕事中とのこと、くれぐれもお体にお気をつけください。
やはり、命を失う可能性がリアルに感じられる病気になると、
否応なく人生の残り期間と、その中での生き方を考えさせられますよね。
お互いに悔いなく生きてまいりましょう。
同じように生きておられる方がいらっしゃると聞き大変心強いです。