最近、日経平均の動きが活発になるにつれ、海外掲示板のRedditなどでは「日本市場」に関する議論が夜な夜な熱く交わされています。
多くの海外投資家が期待を寄せる一方で、彼らが一様に口にする「不満」があります。それは、日本企業のガバナンス(企業統治)の古臭さです。
海外投資家が突きつける「日本企業へのNO」
海外の投資家コミュニティを覗くと、彼らは以下のようなポイントに苛立ちを隠せません。
- 現金の溜め込みすぎ: 「なぜ日本企業はこんなに現金を寝かせているんだ?もっと配当や投資に回すべきだ」
- 取締役会の閉鎖性: 「生え抜きの男性ばかりの取締役会で、本当に革新的な経営ができるのか?」
- 形式的な改革: 「東証が言ったから渋々やっているだけで、本気で株主を向いていない」
彼らにとって、日本市場は「安いけれど、中身がアップデートされていない古い文明」のように見えているのかもしれません。
現場を知るプロの視点:ガバナンス改革は「外部圧力」か?
しかし、監査や内部統制の現場をプロの目で見てきた筆者の視点から言わせれば、この問題にはもう一つの「本音」が隠されています。
正直なところ、日本企業の多くが株主の声を重視し始めたのは、あくまで**「外部的な要因で無理やりそうさせられている」**というのが実情ではないでしょうか。
経営陣の本音としては、**「自分たちのやりたいようにやりたい」**というのが一番にあるはずです。
「株主優待」復活の裏にある、日本企業の防衛本能
最近、廃止の傾向にあった「株主優待」をあえて復活させる企業が目立ってきました。これも、海外勢が求める「配当による還元」とは真逆の動きです。
海外の「うるさがた」の株主を増やしたくない。代わりに、多少のことで文句を言わない日本の「安定株主(個人投資家)」を増やしたい――。こうした日本企業の防衛本能が、優待復活という形で表れているようにも見えます。
結び:文明のクラッシュが生む、日本市場の歪み
海外投資家が求める「グローバル基準の理想」と、日本企業の現場に根付く「自律を守りたい本音」。
この両者の激しい「文明のクラッシュ」こそが、今の日本市場の独特な歪みを生み出しており、同時に私たち投資家にとっての「チャンス」や「リスク」の正体なのかもしれません。

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